「綺麗な花を見たい」そんな要望には即実行する気持ちを

介護職員安田 和憲

情熱的な思いはなく、ただ流れに身を任せ介護業界に

そもそも介護に対して特別な理由も熱い思いもありませんでした。簿記の専門学校を卒業した後は、普通の会社に就職。そのとき、祖父の介護のお手伝いをするようになったのですが、回数を重ねていくごとに「介護」が身近になってきました。勤めていた会社を24歳で退職し、介護の専門学校に入学しました。卒業と同時に介護福祉士を取得、地元の特養で働き始めました。初めて働いた施設は、ユニット型ではなく多床室。6人部屋がほとんどでプライバシーがなく、劣悪な環境での介助だったため、想像していたよりもしんどい仕事でした。いわゆる”3K”ですね。でも弱音は吐かずに、技術や知識を吸収しようとしていました。

特養以外の施設は初!? 家族との関わりがやりがいに

あそか苑で働くまでに何度か転職をしているのですが、ずっと特養です。特養に強いこだわりはありませんが、「じゃあ特養で働きましょうか」と面接時に決まることが多かったんです。あそか苑も特養の予定でしたが、ちょうど小規模多機能型居宅介護を新設するタイミングだったので、そちらの立ち上げメンバーとして働くことになりました。特養とは違う面がありますね、当然だけど。特養では面会以外にほとんど家族との関わりがなかったので、家族との接点や関わりが多いことにびっくりしました。宿泊だけでなく通いや訪問も提供しているので大変ですが、個々のニーズに寄り添うことにやりがいを感じています。

人生の最期に寄り添う、家族からの「ありがとう」の感謝の言葉

約20年の介護キャリア、看取りは数えきれないくらい経験しましたが、何回立ち会っても慣れることはありません。その人その人によって全く違います。終末期に入ってからの介助、看取り、そしてエンゼルケアと人生の最期に寄り添うことができるのは他の仕事ではなかなかありません。「ありがとう」と家族から感謝の言葉を掛けられたとき「介護の仕事をやってて良かったな」と心の底から思います。

利用者の心身の変化は、チームアプローチの賜物

いま働いている施設は泊まり・通い・訪問の複合型サービスを提供している小規模多機能型居宅介護。利用者と丁寧に関係を築いていくことで、意思疎通が難しい人が心を開いたり、施設に行きたくないと訴えている人が「行くのが楽しみ」と言ったりと利用者の心情が変わっていくことにやりがいを感じています。また、経口摂取が厳しい人が口からご飯を食べるようになったり、家にこもりがちの人が外出するようになったりと機能面・生活面での変化があるのも嬉しいですね。チームとしてのアプローチが利用者に良い影響を与えているのでしょう。

苦しい時期をともに乗り越えたからこそ強い絆がある

施設オープンの頃から一緒に働き、苦しい時期をともに乗り越えてきたのが、ユニットリーダーのYさんです。彼とは強い絆があります。お互い沈んでいるときに腹を割って話し合い、励まし合ったこともあります。「あのとき安田さんが本音で喋ってくれて元気が出たよ」というYさんの言葉はいまでも忘れられません。利用者に対しての思いが深く、職員に対しての気配りが上手で彼のことを尊敬しています。

いま認知症実践研修を受講しています。認知症の方への関わり方を再確認し、いままでの関わりは間違っていたと気付きました。研修で学んだことを実践し、エビデンスを持つ対応に変えていきたい。そしてこの変化を個人だけにとどまらずにチーム全体にも浸透していくことで、施設全体の質の底上げを行っていきます。

共に育つ場を設定し、人を大切にする組織づくりにも注力

介護業務以外に育成の取り組みもしています。共育委員会のメンバーとして普段喋らない人と関わる機会を設定し、部署を横断した交流をつくっています。あそか苑は部署が多く、なかなか意思疎通が難しい部分がありますが、違う部署の取り組みや考えを聞くことで良い影響を相互作用させていきたい。具体的にはチューター制度の実施やFOR YOUの会の開催、育成プログラムの立案をし、人を大切にする環境をつくり、人が辞めない組織づくりを行っています。共育委員会を通じて、意識の変化が見られた職員がいらっしゃいます。他の職員との壁があり、否定的な言葉が多い印象でしたが、FOR YOUの会の参加をした後はネガティブな言葉は少なくなり、前向きな言葉が出ています。

「綺麗な花を見たい」そんな要望には即実行する気持ちを

最近プライベートで生死と向き合う出来事がありました。以前は看取りに真摯に取り組んでいたつもりですが、どこか一歩引いていました。仕事に精いっぱい取り組んでいたつもりですが、どこか妥協することがありました。でも、この一件で価値観ががらりと変わりました。自分がやるべきことに全力で取り組んでいきたい。意識したいのは施設での生活が楽しい!と思える瞬間を増やしていくこと。明日どうなるのかなんて分かりません。今日できることを後悔せずに提供していきます。「散歩に行き、綺麗な花を見たい」と要望があれば、後回しにせずに「では行きましょうか」と実行に移すよう心掛けます。

自分が出した「提案」をチーム全体で実行に移していきたい

1人ひとり考えは違います。その違いを違和感のままにするのではなく、チーム全体で共有・反映することでチーム全体の考えを再構築していきたい。いわゆる、個人の考えをみんなで実践できるチーム。上司からの指示だけをこなすチームではなく、いま何をすべきかを考え、行動するチームが理想です。その理想を実現するために、任された仕事をただこなすのではなく、提案ができる人と一緒に働きたいです。自分の手の中からの「提案」がひろがっていった先にチームや組織が良くなるフェーズがあるのだと確信しています。