人との対話を通じて悩みを解決できるような仕事がしたくて介護の世界へ

職員王 新愈

親の決めた「公務員」の道を選ばず日本へ

日本にすごく興味を持ちだしたのは、高校1年の時です。きっかけは日本へ留学経験のある先生が授業で色々日本のことを紹介してくれたこと。うちは両親とも公務員をやっていたから、僕が高校1年のときにはすでに親が将来の進路を決めていて、親の望みどおりの大学に行っていれば公務員になれたんですが、反抗期だったのもありましたし、公務員として十数年変わらない生活をおくる両親を見て面白みがないなって当時は思っていたので、親の元を離れて好きなところへ行こうと、高校3年生のときに日本へ来ました。当時と違って社会に出て働きはじめた今では安定してる仕事ってすごくいいな!って思うようになりましたけど(笑)。でも、後悔はしていないです。

チャレンジした心理学の勉強では苦労の連続

外国人のなかでは入りやすい学部ということで経済学部が一番人気でしたが、僕は数字が苦手だったし、ほかの人たちと違うことをしたかったので心理学を選びました。でも今考えるとすごいチャレンジでした。2年半ほど日本語学校に通いながらいろんな学校を受け、もう1年受験対策のために塾に通いましたが、倍率の高い国立には入れませんでした。とにかく心理学の専門用語が難しくて、大学に入ってからも勉強に苦労しました。だけどゼミは楽しかったです。ユニークな教授で、考え事をするときはいつも温泉に入ってリラックスしながらひらめきを得るというぐらい温泉好きの人だったので、ゼミのみんなで一緒にワイワイしながら温泉に入ったりもしました。本当は大学院に進んで心理学の応用を学びたかったのですが、試験の英語論文のハードルが高すぎて、就職活動をすることにしました。

人との対話を通じて悩みを解決できるような仕事がしたくて介護の世界へ

就職活動では、大学で産業カウンセラーになるための資格をもらって企業に関わるという選択肢もありましたが、僕は企業を相手にするより、もっと心理的に人と関われる仕事がしたかった。それで特別な資格がなくても介護だったら人と深く関れるんじゃないかと思って、いくつか介護施設の面接を受けました。その中で、あそか苑のデイサービスを体験したとき、雰囲気がすごく良く、職員と利用者さんとの関係性や近すぎず遠すぎない距離感が心地よかったこと、当時の採用担当の方がすごく面白かったことも決め手になって、あそか苑を選びました。

利用者さんとの距離感がつかめずに困惑した1年目

特養では介護度の高い方がほとんどなので、利用者さんと会話を交わすことが難しく、何を望んでいるか、何が欲しいのかが読めない、分からない。大学で認知症のことなど高齢者に関わるような勉強をしてきたわけじゃないから、余計に分からないところもあると思います。だから往診に来る精神科の先生が利用者さんとの少しの会話から状態をきちんと判断して薬を的確に出しているのをスゴイと思うし、そんなふうに読み取れるようになりたいと思いながら見ています。そんな中でも、日によって、ほんの少しですけど、ちゃんと利用者さんと会話がかみ合うときがあって、それが一番嬉しいかな。

逆に、しっかり会話のできる利用者さんと距離感が近くなりすぎて困ったこともありました。たとえば「さみしさ」からいろいろな頼みごとをしてこられる利用者さんがいると、その方の気持ちや心の中についてすごく考えてしまうんです。だけどその人だけに時間を使うと、ほかの利用者さんとの時間もとれなくなるし、業務にも追われてしまって・・。そのとき先輩からアドバイスをもらって、距離を少し置くようにしたり、ある程度意識しすぎないように会話するようになりました。今は何か意識するというより、自然体で話していることがほとんどです。

ちゃんととミスを叱ってくれる先輩がいる環境

先輩にはお世話になっています。いろいろ面倒を見てもらったり、仕事のフォローをしてもらったり、けっこう叱られたりもします。こないだも、ポンと渡されたタオルと服をそのまま一緒に洗ってしまって叱られました(笑)。でも小さいミスでも言ってもらわないと分からないこともあるので、そうやってストレートに伝えてもらえたほうが全然いいです。ほかのスタッフ同士の距離感もすごくいいかんじで、聞きたいこともすぐに聞けるし、話しやすい。ちょうどいい距離感だなと思っています。

いろいろな経験をして、将来は中国で介護施設を建てたい

もともと入職する前に、デイサービスなら自分がやりたい「心理学的なアプローチで人と関わる」ことができそうかなとイメージしていたので、いつかデイサービスや、ほかの部署の仕事も経験したいと思っています。

ほかにもやりたいことはいくつかあって、ひとつは友達と一緒にこんな施設を建てたいということ。中国は日本みたいに保険制度がなくて、政府と連携して許可を得ないと事業が立ち上げられないので難しいところもありますが、やっぱり将来的には母国で・・という想いがあります。もうひとつは、社会人大学院デビューしようかなとちょっと思っています。大学で学んだ心理学って、あくまでも基本の基本なんですよ。一度は英語論文が難しすぎて諦めたけれど、今でも心理学の本は読んでいるし、専門的なことをもっと知りたいと思うから、やっぱり大学院には挑戦したいです。