しごとを楽しく続けていられるのは周囲の人たちのおかげ

介護職員阿部 貴明

「介護福祉士へのきっかけ」は知人からの誘い

もともとは役者として生きていきたくて、東京の事務所に入り、お芝居に本気で打ち込んでいましたが、結婚して、子供ができたときに、「これからは自分の夢ではなく、家族の幸せをいちばん大切にしていきたい!」と、役者を辞める決意をしました。お互い関西の出身だったので、妻の地元である兵庫に住所を移し、はじめての本格的な就職活動。車の免許を持っていなかったので、まずは教習所に通いながら仕事を探し、知人の紹介で保育園で働きはじめました。そこで働きはじめて1年ほど経ったころ、「阿部くん、介護の業界はどう?保育もいいけど介護してみませんか?」と声をかけられたのが、介護のしごとをはじめたきっかけです。いきなりの話で戸惑いはありましたが、せっかく誘っていただいたのだから、挑戦してみよう!と、思い切って飛び込んでみることにしました。わたし自身、単純な性格もあって、迷いはなかったです(笑)

なにかしたいけど、できない。それが一番つらい

何も知らない介護の現場。慣れるまでの3ヶ月はほんとうに大変でした。初日と2日目は先輩職員のそばについて、介護の流れや、施設、利用者さんを紹介していただいたのですが、することがわからないし、やりかたもわからない。何も出来ず、ただそばについているだけの2日間がいちばん辛かったです…。3日目からは先輩職員に教えてもらいながらやっていきました。業務をただ見ているだけだった前の日に比べて、わたしにできることが少しでもあることが嬉しかったです。実際にやりはじめると分からないことばかりで、たくさん質問をしましたが、どの先輩も優しく教えてくれました。とはいえ、はじめて利用者の方をベッドから車椅子に移乗するとき、やりかたがすごく悪かったみたいで、1回やっただけで腰が痛くなったときは、「こんなしんどいんや。仕事を続けていけるのかな…」という思いが頭をよぎりました。でも、介護を経験した人であれば理解できると思いますが、移乗介助は慣れてしまえば、しんどいことはありません。力の入れ方、身体の動かし方ひとつでこんなにも違うんだな、と日々勉強しています。直属の先輩だけでなく、多くの職員に介助の疑問を投げ掛け、コツを教えてもらいながら、自分に一番合うやり方を見つけていきました。3ヶ月ぐらいで自分のやり方ができてきたことで少しずつからだが楽になり、楽しくなってきました。これは介助だけでなく、仕事全般にいえることですね。知識がないことで苦労した面が沢山ありますが、介護に対して知識がほとんどなく、介護への先入観がなかったからこそ、先輩の教えがすんなりとはいってきて、今では理論よりも実践が先でよかったと感じています。

しごとを楽しく続けていられるのは、周囲の人たちのおかげ

わたしが今でも介護のしごとを楽しく続けていくことができているのは、気軽に相談できる人たちが周りにいるという環境がとても良かったからだと思っています。どんなに些細な質問でも、嫌な顔をせず親身になって教えてもらえる環境があるからこそ、辛いことも乗り越えられてきたと実感しています。また、わたしを担当したリーダーには明確な指針があり、その指導があったおかげで、わたし自身がそれに向けて前向きに頑張ることができました。介護のことが何も分からないわたしに、「半年でユニットの一般業務をひとりで任せられるようにしたい。そして一般業務以外のことを覚えていって欲しい。1年後には自分の技術だけを考えるのではなく、利用者1人ひとりの特徴をきちんと捉え、その人に沿った介護ができるようになって欲しい」と、目指すべき方向を丁寧にわかりやすく示していただきました。どこを目標に据えるのかがすごく具体的なので、目の前の課題に対して「この期間は、これを頑張ろう!」と計画が立てやすく、前向きに取り組むことができました。

新しいことへの挑戦が成長につながっている

介護のしごとをはじめて2年目となり、自分の介護技術に自信がついてきたことを実感しはじめた頃、特養からショートステイへ異動となりました。はじめての異動。はじめての環境のなかで果たして自分にできるのか?という不安が大きくありましたが、「やってみないとわからない」が、わたしの大切にしているモットーなので、まずはがむしゃらにやってみようと前向きに考えました。

異動して3ヶ月間は戸惑いの連続でした。特養とは、業務量もスピード感もまったく違うショートステイで、立ち止まっている時間がないくらいの忙しさを感じながらも、試行錯誤と周りへの相談を繰り返すうちに、少しずつできることが増えていき、できるようになる感覚を得ていきました。この経験のなかで、判断力や瞬発力、決断力が鍛えられたと実感しています。

介護業務だけでなく、大きな夏祭りの開催では、主軸となって動く委員長を任せていただきました。ほかの部署との連携や、外部の業者とのやり取り、日程調整など、やらなければいけないことは細かく多岐にわたり、通常業務との両立が求められ、春から夏にかけては記憶がないくらい忙しかったです(笑)。そのなかでも大変だったのは、人を巻き込みながら連携をとっていくこと、段取りよく進めていくことでした。大変だったけれど、これをやりきったことで人と連携していく大切さを学ぶことができました。この4月からユニットリーダーになるので、この経験を、自分が担うユニットにも活かしていきたいです。

「阿部さんに仕事を任せたら安心だ」と思ってもらうことが目標。

働きだしてから、今年で4年目になります。先日、介護福祉士の試験を受けました。まだ結果は出ていませんが、自己採点では合格ラインを超えているので大丈夫だと思っています(笑) 資格を取得するという、介護職としての第一段階の目標が、ひとつ達成できそうなので、ひとまずホッとしています。次の目標としては、余裕があったら、ケアマネ資格を取得したいです。4月からユニットリーダーになることには、期待が半分、不安が半分ですが、まずはやっぱりがむしゃらに頑張ってみようかな、と。リーダーになったからには自分の部署だけでなく、まわりの人に「阿部さんに仕事を任せたら安心だ」と思ってもらえるようになりたいです。

就職を希望する方へのメッセージ

介護職を続けている1番の理由は、家族がいることです。ただ、その理由だけで続けているわけではありません。あそか苑は、人間関係が良いのです。だから休み明けに職場にいくのが嫌ということもなく、この3年間、介護職として楽しく働くことができました。なんでも相談しあえる環境がある。尊敬する、目指すべき先輩がいる。自分がつらいときに「つらい」という気持ちを素直に伝えられる同僚がいる。わたしを慕って質問をしてくれる後輩がいる。これまで一緒に働いてきた部署のスタッフはもちろん、他の部署の人とも、挨拶や気軽な世間話ができる。どれも何気ないやり取りですが、人間関係に恵まれている職場だと感じています。

わたしは、笑顔が素敵な人と働きたいですね。技術的なことは働きだしたあとからも学ぶことができますし、慣れていけば、仕事のスピードも上がって行きます。スキルが高いだけの人より、仕事を楽しめる、笑顔が絶えない人と一緒に働きたいです。