介護職員としてのソウゾウリョク

介護職員中村 翔

あそか苑との「ご縁」によって、ぼくは介護の世界に

大学卒業後は製紙会社で数年働きましたが、様々な事情が重なり退職しました。その後司法書士を目指して勉強しましたが、難しすぎて断念。自分にはどんなことができるのか、やりたいことは何なのかを考えていったときに思い浮かんだのが介護の仕事でした。これからの高齢社会でますます需要が高まり、やりがいが感じられると思ったからです。祖母があそか苑を利用していたことがきっかけで、あそか苑で働くことになりました。あそか苑との「ご縁」を感じずにはいられません。中学校の頃の職業体験で介護施設を実習先に選びました。あのときは介護業界で働くなんて夢にも思わなかったです。人生って不思議ですね。

介護職員としてのソウゾウリョク<想像力と創造力>

介護未経験で無資格だったので、パート職員として働くことになりました。はじめはデイサービスでの勤務。介護とは全く関係のない法学部出身ですが、介護に対しての抵抗感はなく、すんなりと仕事に慣れることができました。デイサービスは「介護」というより「サービス業」に近い印象を持ちました。送迎の車のなかで賑やかにおしゃべりしたい人もいれば、静かに過ごしたい人もいます。1 人ひとりの利用者ごとに接し方を柔軟に変えないといけません。気を遣うことが多く、精神的に大変だなあと思うときがありました。でも楽しいことも日常に転がっています。あそか苑のデイサービスでは、季節行事と絡めた多種多様なレクリエーションをしています。印象に残っているのは「居酒屋イベント」。居酒屋のような装飾やお品書きを自分たちでつくったり、職員はハッピを着たり、本物のような居酒屋の雰囲気をつくりあげ、利用者の方々を楽しませることができたのは良い思い出です。介護職員としての 2 つのソウゾウリョク<想像力と創造力>を鍛えることができました。
デイサービスでの仕事をしていくうちに、ある不安がよぎりました。デイサービスでの勤務は楽しく充実しているけれども、生活支援に即した介護技術を高めることができないと。そこで、西村拠点長に特養への異動について相談しました。特養での勤務を経験した後にデイサービスへと異動する介護職が多いですが、私はデイサービスから特養へと逆のパターンでした。特養に異動する直前に利用者の前で挨拶をしたところ、数名の利用者が「行かないで」と泣き出しました。「ああ、これからも介護の仕事を続けていこう」と心に決めた、忘れられない印象的な思い出です。

先輩職員からの助言のおかげで、ぼくは成長できた

デイサービスとはまた違った介助を提供する特養。日に日に介護技術が磨かれていると感じています。「介護職の登竜門は特養」というたとえ話を耳にしたことがあるのですが、本当にそうだと実感しています。
就寝ケアやモーニングケアは介助を終える時間が決まっているのですが、介助をするスピードが遅く、時間内に終えることができずに悩んだ時期がありました。先輩職員から作業の優先順位を決めたら次にやるべきことが可視化され、効率が良くなるよとアドバイスがありました。この助言を実践してみると、介護の質を落とさずに時間内に介助を終えることができました。今回だけでなく、先輩職員からたくさんの助言を頂きました。そのおかげで利用者の状態によって臨機応変に対応することもできるようになり、介護技術が身に付いてきたことを実感しています。
特養に異動してしばらく経ったある日、西村拠点長から「正職員にならないか」と打診がありました。いつかは正職員になりたかったので、2 つ返事で「はい!」と答えました。上手くいかないことが時々ありますが、利用者が時折見せる笑顔が活力となって毎日の業務に励んでいます。

あなたはプロですか?それともアマチュアですか?

私が働くユニット方針の 1 つに「記録の充実」があります。良い介助を提供するだけでなく、良い記録を作成することも大切にしています。介護記録の入力は簡潔にまとめるのが基本ですが、状況や経緯などを詳細に入力することで、記録の質を高めています。個人的には客観的事実としっかり区別し、自分自身の考えや解釈を書き加えることも大切にしています。以前受講した研修の講師がこのようなことをおっしゃっていました。「あなたは今までプロとしての観察眼を磨いてきましたか?観察眼がない人はアマチュアです。いままで業務を漠然とこなしてきませんでしたか?」その言葉を聞いた瞬間、ハッとしました。そして、しっかりと状況を観察し、日々の変化に敏感になろうと思いました。観察するなかで見えてきた事実を記録にしっかりとまとめ上げていきたいです。記録を充実することに苦戦しますが、この積み重ねで観察力と表現力が高まり、介護職員として成長できると思っています。

誰に対してもフラットに接する先輩でありたい

同じユニットに今年 4 月に新しく入職した人がいます。彼女とは同じ目線で協力し合いながら仕事をするように意識しています。誰に対してもフラットに接する先輩でありたいですね。あそか苑には様々なユニットリーダーがいます。陣頭に立ち適切な指示を行い、チームを引っ張るタイプがいれば、自らが率先して動くことでチームをまとめるタイプもいます。みんなの前に立って指示をしていくのだけがリーダーではなく、誰よりも実直に動く姿をみんなに見せるのもリーダーでしょう。私は後者のようなリーダーに憧れます。

未経験で無資格の素人だった私だからこその強み

介護の専門学校や大学出身ではなく、未経験で無資格の全くの素人で入職した私だからこその強みがあると思っています。介護には様々な方法や考えがあり、絶対的な正解がありません。介護を専門的に学んできていないからこそ、自分とは違う方法や考えを受け入れ、そのなかで自分に適した介助方法や介護観を見出して実践しています。「中村さんがいて安心だな」と思われる職員でありたいです。そのために利用者に対して柔らかい物腰で接し、丁寧な介助を積み重ね、信頼を築いていきたいです。これからの目標は、現場経験を積んでケアマネージャーになること。あそか苑で働く男性ケアマネの姿に憧れを抱いたからです。経験を重ねていくにつれ自分の性格を活かして仕事ができていますし、介護領域で実現したい目標を見つけることができたのは幸運なことです。
あそか苑はイベントや研修制度、チューター制度が充実しており、人を大切にする環境が整っています。だからこそ自分の性格を活かして仕事ができているし、介護領域で叶えたい目標を見つけることができました。1 日 1 日を大切に、謙虚な姿勢で自分を見失わずに、これからもあそか苑で働き続けたいですね。