手段と目的を履き違えない。わたしは1人ひとりの生活を支えている

管理栄養士塚本 さつき

何気ない出来事から管理栄養士になる夢が生まれた

いま思い返すと栄養士になりたいと思った原体験が2つあるような気がします。1つは祖父の食事療法が日常に溶け込んでいたこと。もう1つは入院中に食べたご飯が美味しかったこと。何ら特別な出来事ではないけれども、これらがきっかけで栄養士になりたいなぁとぼんやり浮かんだのかもしれません。その気持ちは変わらず、管理栄養士になるための大学に入学しました。栄養学を勉強していくなかで、理想と現実のギャップを感じることはありませんでした。むしろ管理栄養士の視野が広がりました。入った当初は管理栄養士=病院という固定概念を持っていましたが、病院や保健所、高齢者施設などに実習にいくことで色んな働き方があることに気付きました。

より専門的な業務をしたい!と転職を決断

食事という観点から子供たちの成長に関わりたいと思い、大学卒業後は保育園に就職しました。献立作成や調理、盛り付け、食事介助や洗い物、おやつ作りや書類作成など多くの業務を行い、仕事のやりがいは感じていましたが、管理栄養士ではなく栄養士でもできる仕事なんじゃないかと思うようになりました。わたしは「管理」栄養士になりたいと転職を決断し、障害児の療育センターで働きはじめました。そこでは、普通食だけでなく刻み食やゼリー食、ペースト食と食事形態が様々。療育センターに入所している子供たちは脳性麻痺の方や言語障害をお持ちの方が多く、個々の対応が必要です。保育園で働いていたときに比べて、より専門的な業務をすることができ、管理栄養士としての経験やスキルが濃くなりました。

職員の明るく丁寧な対応が、あそか苑で働く決め手に

療育センターで働き出して数年後、結婚を機に伊丹に引っ越しました。伊丹で就職先を探そうと思い、ハローワークで就職活動をはじめました。実は、はじめて面接を受けたのがあそか苑。そのときの人事担当が「あそか苑が最初の面接だったら、他の施設もいくつか受けてじっくり決めたほうがいいよ」と言ってくれたので、高齢者施設や病院、保育園など色々な施設も視野に入れ、就職活動を続けました。でも、あそか苑の雰囲気がずっと忘れられませんでした。職員全員が笑顔で挨拶をし、丁寧に対応していただいたことが決め手で、あそか苑への就職を決めました。

管理栄養士として利用者1人ひとりと向き合いたい

仕事は多岐にわたります。献立表の作成や食材発注、納品や検品。備蓄管理や栄養計画書の作成もしています。利用者1人ひとりの栄養計画書を作成することに加え、利用者の食事の様子を観察したり、介護職員に食事の様子を聞き取ったり、計画通りに進んでいるかどうかの経過を見ています。
栄養計画書をつくり始めてまだ1年も経っていませんが、厨房業務ばかりしていた頃に比べて利用者のことが分かってきたような気がします。というのも以前はユニットに行くことがほとんどありませんでした。いまは時間が合えばユニットに足を運んでいます。以前は、「きちんとご飯を食べているのかな?」「美味しいと思っているのかな?」「食べやすいのかな?」と疑問ばかり浮かびましたが、少しずつ解消されています。これからは1人ひとりと向き合っていき、疑問がゼロになるようにしていきたいです。

先輩の一言が、わたしのやる気スイッチを押した

わたしはいまHACCPプロジェクトのリーダーをしています。HACCPとは、食品を製造する際に安全を確保するための管理手法のことで、あそか苑は元々HACCP理論に基づき衛生管理をしています。衛生管理をさらに強化するためにHACCP認証の取得を目指しているのがHACCPプロジェクトです。書類やマニュアル整備、作業工程の確認をしていく必要があります。食事サービスのみなさんをプロジェクトに巻き込んでいく必要がありますが、リーダーシップをうまく取れていません。わたしはまとめ上げるタイプでもないし、引っ張っていくタイプでもありません。どうしたらいいのか分からないまま1年弱が経ち、落ち込んでいます。でも「こんなに仕事を任せることができると思っていなかったよ」という先輩からの言葉は嬉しかったですね。お世辞かもしれないけど、仕事ぶりを認められたんだと。まだまだ頑張ろうと思うようになりました。

気軽に相談し合える雰囲気が厨房にあふれています

わたし、仕事の要領があまりよくありません。なかなか仕事が覚えられずに足を引っ張ってしまいます。モヤモヤは溜まるばかり。でも、チューターの福條さんには言いたいことはすべて伝えることができ、気持ちの整理ができました。また新しい業務が増えたとき、「最近業務が増えたけどしんどくない?」と温かい言葉を掛けてくれました。わたしの話を丁寧に聞いてくれたことで、モヤモヤから切り抜けることができました。福條さんとの面談の積み重ねのおかげで、仕事が楽しくなってきています。
厨房全体にも働きやすい雰囲気があります。以前の職場は栄養士と調理師の壁が厚く、他人行儀でした。自分の思いを調理師に言いにくかったり、コミュニケーションを取り合う時間が少なかったりと職場の雰囲気があまり良くなかったです。でも、あそか苑は違います。食事サービス管理者の赤松さんの人柄だからだと思いますが、人間関係が良く、お互いが気軽に相談し合える雰囲気が厨房にあふれています。

手段と目的を履き違えない。わたしは1人ひとりの生活を支えている

栄養管理は大切だけど、もっと大切なことがあります。それは、生活を支えるということ。あそか苑は利用者にとっては「家」で、生活そのものの場。わたしの家と思われるように食事の時間を演出したいし、食べることは幸せと思ってほしいですね。「わたしの仕事はこれ」と囚われ、それをこなすことが目的となってしまいがちですが、その人らしい生活をサポートすることが目的で、健康的で美味しい食事を提供することが手段ということは忘れないように意識しています。

一緒に悩みながら答えを導き出せる人になりたい

これからもずっと管理栄養士は続けていきたいです。利用者と近い距離で仕事がしたいから、一生現場に立ち続けたい。1年後にこうなりたいという明確な目標はありませんが、いまよりもっとスムーズに要領よく働けるようになりたいです。3年後には、新しい職員の相談に乗ったり、的確なアドバイスをしたりと頼られる人になりたい。でも、上下関係ではなく、対等な関係で。誰かに頼られたときに答えを提供するのではなく、一緒に考えながら答えを導き出していきたい。そう、福條さんみたいになりたいんですよね。わたし自身、福條さんがいたから仕事を続けることができました。わたしも誰かにそう思われるような人になりたいなあ。